会話を失礼なく終わらせる方法:話を切り上げる5つのコツ
会話を終わらせるのは、思っている以上に難しいもの。関係を壊さずに抜け出せる5つの確実な方法と、言葉でうまくいかないときの予備の作戦を紹介します。
B執筆:Baptiste Garcia
このページの内容
結論
会話を失礼なく終わらせるには、5つの基本の方法のどれかを使いましょう。「また今度」作戦(あとで続きを話すと約束する)、心からのバトンタッチ(相手を別の人や別のことにつなぐ)、時間の予告(「〇時には出ないといけなくて」)、しぐさの変化(半歩下がる、荷物をまとめる)、そして正直なひと言(「そろそろ行くね」)。言葉で抜け出そうとしても何度もうまくいかないときは、タイミングのいいフェイク着信が、誰にも突き放されたと感じさせずに席を外せる、外からの理由になります。誰にでも経験があるはずです。5分前から会話はもう面白くなくなっているのに、立ち去るのは失礼な気がして、足が床にくっついたように動けない。同じ愚痴を何度も繰り返す同僚かもしれないし、パーティーでロックオンしてきた初対面の人かもしれないし、こちらのそっけない返事をサインだと気づいてくれない、悪気のない親戚かもしれません。抜け出せないのは、あなたに社交スキルが足りないからではありません。会話を終わらせるのは本当に難しいことで、しかも上手な終わらせ方を教えてくれる人はほとんどいないからです。
うれしいことに、どんな会話からでも、関係を壊さずに抜け出せる、はっきりした再現性のあるテクニックがあります。このガイドでは、その中から5つの方法と、場面ごとにそのまま使えるひと言を紹介します。フェイク着信が予備の作戦として役立つのはどんなときかも説明します。
会話を終わらせるのがこんなに気まずい理由
ハーバード大学の研究者らが2021年にPNAS(米国科学アカデミー紀要)で発表した研究によると、2人がともに終わらせたいと思ったタイミングで実際に終わった会話は、わずか2%ほどでした。ほとんどの場合、少なくともどちらか一方が、相手よりずっと前から、心の中でそっと帰りたいと思っていたのです。また研究者たちは、人は会話の相手がいつ切り上げたがっているかを推し量るのがとても苦手で、数分単位で見誤ることも多いことを明らかにしました。
なぜこんなに難しいのでしょうか。会話は礼儀というエンジンで動いているからです。あなたは相手の気持ちを傷つけたくないので、うなずき続ける。相手は退屈な人だと思われたくないので、話し続ける。どちらも意識して選んだわけではないループに、2人ともはまってしまうのです。そう考えると、少し気が楽になります。専門の研究者でさえ、その場でこの調整を成功させるのはほぼ不可能だと考えているのなら、うまくできないことで自分を責める必要はありません。そのかわり、確実な抜け出し方をいくつか身につけて、意識して使いましょう。
「また今度」作戦
「また今度」作戦は、終わりを始まりに置き換えるので、いちばん感じのいい抜け出し方です。会話を閉じるのではなく、一時停止して、あとで続きを話すと約束するのです。
やり方は、相手が今話したことを受け止めてから、次に話す機会へとつなげるだけです。たとえば、こんなふうに。
- 「続き、すごく聞きたいな。今週どこかでLINEするから、そのときゆっくり聞かせてくれる?」
- 「立ち話じゃもったいないくらい大きな話ですね。今度お茶でもしながら、じっくり話しましょう。」
- 「もう行かなきゃいけないんだけど、そのリンク送っておいて。今夜見てみるね。」
この作戦がうまくいくのは、拒絶ではなく、相手を大切に思っていることが伝わるからです。相手の話が、もっと時間をかけて聞く価値のあるものだと伝えているのです。ただ、今ではないというだけで。ひとつ大事な注意点があります。続きの約束は、本当に守るつもりのものだけにしましょう。結局実現しない「また近いうちにね」は、すっきりとお別れするよりも早く信頼を損ないます。
心からのバトンタッチ
バトンタッチがいちばん効果を発揮するのは、まわりにほかの人がいる集まりの場です。相手をひとりにして立ち去るのではなく、別の人や別のことにつなぐことで、会話の熱を途切れさせずに引き継げます。
- 人にバトンタッチ:「その話、佐藤さんにもしてあげてください。さっきちょうどその話をしてたんですよ」。相手を連れて行って、さっと紹介し、自然に離れましょう。
- 行動でバトンタッチ:「ちょっと飲み物を取ってきます。何か持ってきましょうか?」。動く理由が物理的にできますし、気づかいのひと言で雰囲気もあたたかいままです。
- 話題でバトンタッチ:「そういえば、下の階の新しい展示、もう見ました?一見の価値ありですよ」。相手の注意を新しいところに向けることで、自分は別の方向へ向かえます。
バトンタッチは、相手をひとり置き去りにするのがかわいそうに感じられる、パーティー、カンファレンス、交流会などで特に役立ちます。パーティーからの抜け出し方は、パーティーや飲み会を早めに抜ける方法のガイドで詳しく紹介しています。
時間の予告
時間の予告とは、もうすぐ帰ることを言葉で相手に知らせておく合図です。唐突な退場が予想どおりの退場に変わるので、失礼な感じがぐっと減ります。
コツは、早めに種をまいておくことです。「あと5分くらいで出ないといけないんだけど」といったひと言を、会話の最後ではなく、最初か途中で言っておきましょう。早めに予告しておけば、実際に帰るときも、突然逃げ出すのではなく、カウントダウンが自然に終わったように感じられます。
使いやすい時間の予告を紹介します。
- 「行く前にひとつ聞きたかったんだけど……」(締めくくりの話題を決められる)
- 「今日はちょっと時間が限られてるんだけど、この話ができてよかった。」
- 「あと少しで出ないといけないから、大事なところだけ確認させてください。」
この方法は、仕事の場面で特にうまくいきます。同僚は、もごもごした言い訳よりも、あらかじめ伝えられた終了時間のほうをずっと尊重してくれますし、相手が本当に言いたいことから話してくれるので、会話全体が早く進むことも多いのです。その時間制限の理由づけが必要なら、その場から帰るための自然な口実のまとめに、突っ込まれても大丈夫な選択肢がそろっています。
しぐさで伝える
言葉がまったく必要ないときもあります。さよならを言うために口を開く前から、しぐさでやんわりと、会話が終わりに近づいていることを伝えられます。
非言語コミュニケーションを研究する人たちは、名前は知らなくても人が直感的に気づく「終わりの合図」をいくつも見つけています。
- 体を半分ひねる:体の向きを相手から少しずらし、これから向かう方向に向けます。「しっかり向き合っています」というサインになる、正面からの姿勢をさりげなく崩せます。
- 荷物をまとめる:かばんを持つ、スマホをポケットにしまう、上着のファスナーを上げる。こうした小さな動作が「そろそろ動きます」と伝えます。
- 重心を移す:出口に近いほうの足に体重を移します。さりげない動きですが、相手の脳は無意識のうちに気づくことが多いのです。
- ちらっと見る:時計、スマホ、ドアに、さりげなく一瞬目をやります。「退屈です」という大げさなしぐさではなく、時間を気にしていることが伝わる程度の短い確認です。
しぐさで伝える方法は、言葉で抜け出す前の準備として使うのがいちばん効果的です。話を切り出す30秒前からしぐさを始めておけば、「そろそろ行かなきゃ」と言うころには、相手はもう会話が終わりに近づいていることを無意識に感じ取っています。そのおかげで、言葉での退場が唐突ではなく、確認のひと言のように感じられるのです。
正直なひと言で終わらせる
いちばんシンプルな方法が、いちばんいいこともあります。バトンタッチも、口実も、次の約束もなし。ただ、帰らなければいけないことを、あたたかく正直に伝えるだけです。
これは、多くの人が思っている以上にうまくいきます。大事なのは口調です。申し訳なさそうに縮こまるのではなく、笑顔で、心からあたたかく伝えましょう。たとえば、こんなふうに。
- 「話せて本当に楽しかった。そろそろ行くね。」
- 「久しぶりにいろいろ話せてうれしかった。もう行かなきゃだけど、またこうやって話そうね。」
- 「あんまり引き止めても悪いから、このへんで。話してくれてありがとう。」(帰ることを相手への気づかいとして伝えられるので、特にうまくいきます。)
セラピストの間で広まったSAT法(Sandwich、And、Thank)も、同じ考え方にもとづいています。まずあたたかいひと言で始め(「すごく楽しかった」)、「でも」ではなく「それで」でつなぎ(「それで、そろそろ出ないといけなくて」)、感謝で締めくくる(「時間を作ってくれてありがとう」)。相手は話を打ち切られたのではなく、大切にされたと感じながら会話を終えられます。会話が本当に居心地の悪い方向に進んでしまった場面については、気まずい場面から抜け出す方法のガイドで、もっとはっきりした抜け出し方を紹介しています。
フェイク着信が正解になるとき
ここまでの5つの方法は、どれも自分から声を上げられることが前提です。でも、言葉ではどうしても抜け出せない場面もあります。相手がすべての合図を無視してくる。その場の空気を考えると、騒ぎを起こさずにはっきり言うのは難しい。あるいは身の危険を感じていて、すぐに、誰にも疑われずに離れられる理由が必要なとき。
そこで役立つのがフェイク着信です。フェイク着信とは、自分のスマホを本物そっくりの着信で鳴らすアプリのことです。電話回線を通る通話は一切なく、実際には誰も電話をかけていません。端末の中だけのシミュレーションです。画面をちらっと見て、「すみません、ちょっと出ないと」と言って、その場を離れるだけ。中断は完全に外からやってきたように見えるので、言葉で抜け出そうとすると押し返されるような場面でも、うまくいくのです。
Introscape(私たちが開発しているアプリなので、中立なレビューではなく参考情報として読んでください)はAppleのCallKitを使っており、着信はロック画面に表示され、本物とまったく同じに見えます。会話から抜けるときにいちばん便利なのは予約機能です。抜けたくなるかもしれない場に行く前に、最大24時間先まで、決まった時間に着信が来るよう設定しておきましょう。そのときが来ればスマホが予定どおりに鳴り、あなたの退場はまったくの予定外に見えます。本番で頼る前に、フェイク着信の台本ジェネレーターで、発信者とのやり取りを一通り試しておくこともできます。
フェイク着信を上手に使うための心得をいくつか紹介します。
- 最初の手ではなく、最後の手として使う。まずは言葉で抜け出してみましょう。フェイク着信は、言葉がすでにうまくいかなかったときのためのものです。
- 使うのはたまにだけ。集まりのたびに使っていたら、パターンに気づかれます。
- 信じてもらいやすい発信者にする。「お母さん」や「病院」なら、知らない番号よりずっと疑われにくくなります。
- 電話のあとのひと言を用意しておく。「お母さんに買い物を頼まれちゃって。行かなきゃだけど、楽しかった!」。短く、あたたかく、それでおしまい。
組み合わせて使う
いちばん上手な会話の終わらせ方は、こうしたテクニックを2つか3つ組み合わせたものです。まずしぐさで相手に心の準備をしてもらい、時間の予告で帰ることを想定してもらう。そして最後は、「また今度」作戦(「この続きはまた今度ね」)、バトンタッチ(「その話、田中さんにもしてあげて」)、あるいはシンプルな正直なひと言(「そろそろ行かなきゃ。話せてよかった」)で締めくくります。それでもだめで、どうしても抜け出したいなら、予約したフェイク着信に任せましょう。
根っこにある考え方はいつも同じです。相手に、突き放されたのではなく、大切にされたと感じてもらうこと。あたたかく終わった会話は、2人とも心の中でうんざりするまで続いた会話より、ずっといい印象を残します。上手に終わらせることは、失礼ではありません。お互いへのやさしさなのです。
この記事のポイント
- 2人がともに望んだタイミングで会話が終わることはほとんどありません。抜け出しにくいのは普通のことで、社交スキルが足りないせいではありません。
- ほとんどの場面で使える確実な抜け出し方は5つ。「また今度」作戦、バトンタッチ、時間の予告、しぐさの変化、正直なひと言です。
- しぐさの変化のあとに正直なひと言を添えるなど、2つか3つを組み合わせれば、唐突ではなく自然に帰れます。
- 言葉で抜け出せないときは、タイミングのいいフェイク着信が、対立せずに席を外すための外からの理由になります。